気仙沼との絆 身を切られる思いからの出発

凛とした子供に胸打たれ

苦難を乗り越えて巣立つ子供たち=3月19日、宮城・気仙沼小学校

苦難を乗り越えて巣立つ子供たち=3月19日、宮城・気仙沼小学校

東日本大震災から2年以上が過ぎました。まだまだ惨禍の傷が癒えるまでに時間がかかりそうですが、被災地の多くは確実に復興に向けて歩みを進めています。大阪西ロータリークラブ(RC)も支援活動の一環として宮城・気仙沼市の小、中学校との交流を深めています。今年も昨年に続いて卒業式に出席し母校を巣立っていく児童・生徒を見送らせていただきました。

気仙沼との絆 身を切られる思いからの出発

子供たちの元気な歌声に勇気をいただきました=3月19日、宮城・気仙沼小

気仙沼市の支援への始まりは震災の傷跡も生々しい2011年6月2日でした。地元の気仙沼RCを通じて被災者を支援する当クラブの三枝輝行会長(当時)ら5人が同市を訪問したのです。気仙沼RC・神山正志会長から現状報告をうかがって被災現場を視察したあと、市立気仙沼中学に行きました。

同中の校舎や体育館は避難所となり、仮設住宅もありました。そこで齋藤一校長から両親を失った3人の生徒や親の失業による精神的ストレスを抱える子供らの話を聞きました。さまざまな家庭の事情も知りました。気仙沼RCでも30人の会員のうち2人が亡くなり、20人が被災していました。私たちは身を切られる思いでいっぱいになったのです。

大阪西RCは気仙沼RCを支援し長期的に復興支援に当たることを約束しました。

その後の主な活動を報告しますと…。2011年10月4日に同中に運動用具などの備品(126万円相当)を送り、同日、行われた贈答式には当クラブから9人、合同して支援した大阪リバーサイドRCから1人が出席。同中には修学旅行(10月12日~14日)の支援もしました。

このあと当クラブなどRCの支援で修学旅行が実現した市立気仙沼小学校にもうかがい、旅行の実施報告も受けました。たくさんの児童から、あきらめていた修学旅行ができたという喜びでいっぱいのお礼状も頂戴しました。

勇気をもらったのは私たち

気仙沼との絆 身を切られる思いからの出発

届いたユニホームを着て演奏をする気仙沼小学校のブラスバンドの児童たち2012年7月9日、気仙沼小学校


震災発生から1年が過ぎた翌年3月26日には当クラブと台湾の姉妹クラブである高雄西RCの8人も一緒に同小の卒業式に来賓として参列しました。そこで苦難を乗り越えて卒業式を迎えた子供たちのきびきびとした凛とした姿に私たちは胸を打たれたのです。高雄西RCのメンバーも「いい思い出ができた」と感動していました。

また高雄西、気仙沼、大阪リバーサイド、そして当クラブの4RCの連携で、ロータリークラブの国際的人道支援活動「マッチンググラント」の対象として、同小のブラスバンドユニフォームと体操服の贈呈を申請。同年7月9日に同小で、そのユニフォームを着てブラスバンドの演奏を披露してくれたのです。

4月から練習を始めたばかりで、毎朝15分だけということでしたが、4年生から6年生まで42人の部員の演奏は本当に立派なものでした。最後は児童400人全員が一緒になって「手のひらを太陽に」の大合唱です。子供たちの笑顔と元気な歌声は私たちに感動と勇気を与えてくました。

修学旅行などへの支援も続けています。折にふれ、同小中の児童・生徒たちは学習発表会や修学旅行の報告をしてくれます。感謝をしてくれる子供たちの気持ちが伝わり、私たちの存在が役に立ち責任が増していると感じています。

そして今年3月19日、今年も昨年に続いて同小の卒業式に6人の当RC会員が出席しました。今回は同小と南気仙沼小が合併したため、前回より28人多い91人が卒業を迎えました。校長先生から一人一人に卒業証書が手渡されたあと、卒業生全員による門出の言葉が述べられました。苦難を乗り越え卒業式を迎えた子供たちの頼もしく元気な姿に一同胸を打たれ、熱いものが込みあげてきました。