アトピー性皮膚炎―学校生活における管理と指導 豊中RC 北村公一

アトピー性皮膚炎―学校生活における管理と指導― 豊中RC 北村公一                               

 平成26年825日、豊中第十四中学校の教職員27名の方々に、上記の主題でお話しさせていただきました。この活動は豊中ロータリークラブの出前授業の生涯教育への展開の2回目の試みで、今回は中学校の先生方に対象を絞ったのが特徴です。(第一回の試みはここからお読みください。分子を学ぶ―ゴムはなぜ伸び縮みするのか

 近年、児童生徒の健康問題の新たな課題の一つにアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患の深刻化があります。アトピー性皮膚炎では皮膚症状の悪化に伴う身体的苦痛のほか、整容に対する苦痛から不登校やいじめ等のこころの問題にまで発展して学校教育に支障をきたすことがあります。アトピー性皮膚炎は身体的、精神的、知的発達に最も重要な学校教育の時期に一致して見られること、そして幼小児期~思春期までの管理と指導がその後の生活に大きく影響することから、一日のうち多くの時間を過ごす学校における管理と指導は極めて重要です。

 アトピー性皮膚炎の児童生徒を管理・指導していくための教職員のとるべき基本的なスタンスは、児童生徒の健康状態の把握、病気に対する正しい知識をもって患児の治療への支援、心のケアを含めた学校生活上の適切なケアや指導、校内環境の整備(保健室の整備、シャワー設置、動物飼育への注意など)にあります。治療は患児、家族と医療機関が主体となり、とくに小学校高学年以降は患児が病気とその治療にみずからが立ち向かう姿勢が重要です。そして家庭、学校、医療機関が連携を図り、管理と指導を、連続性をもって行なっていくことが大切です。

 授業では上述の点を勘案して、

1.皮膚の構造とその機能

2.アトピーとは

3.アトピー性皮膚炎とは

4.その発症状況、症状、検査法、治療、スキンケア、学校生活における注意点

5.アトピー性皮膚炎の治療の目標をどこにおくか、

等について解説いたしました。

 講演後の質疑では下記のように多くの質問がありました。

・教職員はどこまで関与するべきか。

・患児のプール入水の可否。

・プールの塩素のアトピーへの影響。

・プール入水時の日焼け止めクリームの使用の可否。

・患児のプール入水時のラッシュガードの必要性。

・入浴時のナイロンタオルの使用について。

・学校における環境の整備について。

・症状がひどい状況の続いている児童(脱ステロイド治療のためか?)への関与はどうすればよいか。

・自然治癒はあるのか。

・ステロイドの副作用について

・エビやカニを食べたあとに運動をおこなうと湿疹がで 

 きる児童への対処は、等等。

 以上のように質疑を含めて約2時間にわたって熱心に話を聴いていただきました。情報過多のなか、まとまったアトピー性皮膚炎の話が聞けてよかった、との感想をいただきました。筆者にとっても教職員から生の疑問点を聞くことができ、有意義であったと感じています。