グローバル補助金の最終報告書が財団に無事受理され、ファイルが正式にクローズしたという連絡がございました。 茨木西ロータリークラブ初、当地区初、そして世界で新補助金制度が導入された2013-14年度において承認第1号の日本発のグローバル補助金でありましたから、感慨無量です。
グローバル補助金の申請のきっかけは、2008-09年度に元財団親善奨学生である西口三千恵さんが日本のNGOから医療支援のために派遣されたカンボジアで、現地で別NGOの代表として活動していた元米国軍人のPeter Li博士と活動を共にするところから始まります。
双方の所属先が慈善団体であり、活動の為の財政は厳しく、そこで西口さんが財団奨学生の頃、ホストであった当地区に支援を要請されたのが始まりです。
当初は西口さんの要請に応え、地区国際奉仕委員会や地区内クラブ、あるいはロータリアン個人から財政支援がありましたが、約3年にわたり、Peterや西口さんから御相談を受けるうちに、場当たり的な支援ではなく、彼らの活動場である診療所が自立できるような継続的成果の見込める支援の必要性を痛感しておりました。 そして2013-14年から導入されるグローバル補助金で多額の財政支援、成果の継続性が可能になると言う事を知り、導入の約1年前から数回カンボジアを訪れたり、来日したPeterや西口さんとプロジェクトの立案を開始したのです。
その後、グローバル補助金制度開始直前の2013年4月には申請、紆余曲折があり4ヶ月もかかってロータリー財団の承認を取り付けました。 カンボジアで補助金口座開設という別のハードルを越えるのに1ヶ月かかりましたが、結局10月には1,200万円もの補助金を現地へ送ることができました。
プロジェクト実行フェーズでも、絶えず問題は起こりました。 プロジェクトの立案と見積の入手は申請の半年以上も前から準備したために、実際に実行の段階では現地のニーズが微妙に変化していたり、為替や物価の変動もあり、何度も予算の見直しが必要となりました。 財団の補助金ルールではその度に財団への連絡と承認を受ける事が必要になり、何度財団および現地とやりとりしたかわかりません。
プロジェクトの柱であるリハビリ用施設とプールの完成は、申請から1年半たった2014年9月、さらにもう一本の柱である理学療法士育成トレーニングは同年10月末に完了致しました。
中間報告書は昨年10月に提出し、最終報告書は昨年12月末に提出しましたが、数度にわたって追加情報を求められました。
申請後の財団の補助金ルールの変更、カンボジアの銀行の特殊性もさることながら、現地の関係者がプロジェクト途上で事件に巻き込まれたり、精神的に参って投げ出しそうになったり・・・その度にカンボジアや東京まで足を運びました。私自身、何度投げ出そうと思ったかわかりませんが、西口さん、Peterはもとより福家直前DGとご子息の福家顕宏医師、タイの地区やロータリアン皆様の理解と御支援を頂き、やり遂げられた次第です。
肝心のプロジェクトの成果ですが、29名の理学療法士が生まれ、アンケートの結果1733名の人々から医療サービスが改善されたと回答し、診療所への入院患者が述べ58名を数え、収入も一日100ドルとなったとの報告がございました。
大変な労力と時間を費やしましたが、現地の医療の発展と貧しい患者の為にほんの少しでもお役に立てたとしたらこれほど幸せな事はありません。